注意欠如・多動症(ADHD)の障害年金の申請はなぜ難しいのか
1 注意欠如・多動症の障害年金の受給が難しい理由
注意欠如・多動症(ADHD)は、障害年金の認定対象となりますが、精神の障害は他の障害と比較して、障害の程度を評価する基準があいまいといえ、受給が認められるか否かの見通しを立てるのが難しい傷病です。
また、注意欠如・多動症(ADHD)は症状の重さを診断書に反映することも難しい傷病であるため、審査の結果、障害年金受給が認められるほど障害の程度が重くないと判断され、受給が認められないケースがあります。
2 ADHDの認定基準があいまいである
障害認定基準では、ADHDを含む発達障害で2級に該当する障害の程度は、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」、3級に該当する障害の程度は「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの」が例示されています。
この基準を一読して、どのような場合に何級になるか明確に判断するのは困難です。
これに対して、例えば眼の障害では、「両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの」が1級に該当し、聴覚の障害では「両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの」が2級に該当することとなっており、障害の程度が等級に該当するか否かは数値で判断することができます。
もちろん、ADHDの障害の程度が検査数値で出せるものでない以上、これはやむを得ないものではあります。
ただ、この基準のあいまいさの結果、ご本人やご家族が「ADHDのために日常生活もままならないから2級になるはずだ」と思っていたとしても、審査では3級にも該当せず障害年金を受給できない、というケースが生じる場合があります。
このように、申請者側の主観的な評価と審査結果とのギャップが生じやすい点が、ADHDで障害年金を受給することが時に難しいと言われる理由の1つになっていると思います。
3 障害の重さを診断書に反映することが難しい
障害認定基準には、「発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う。」とあります。
しかしながら、発達障害によって対人関係や意思疎通に生じている支障がどのようなものかは、外からは分かりにくいものです。
また、等級認定の実務で用いられる「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には様々な等級認定の考え方が示されており、例えば、「仕事の内容が専ら単純かつ反復的な業務であれば、それを考慮する。」とありますが、そもそも単純業務に従事していることが診断書に反映されていない場合もあります。
「執着が強く、臨機応変な対応が困難である等により常時の管理・指導が必要な場合はそれを考慮する。」ともありますが、常時管理・指導が必要な状況にあること等も、診断書には反映されづらい内容です。
さらに、診断書の「日常生活能力の判定」という欄には、適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達及び対人関係、身辺の安全保持及び危機対応、社会性という7項目がありますが、うつ病等の二次障害のないADHDの場合、前半の4つに関しては重い評価になりづらい傾向があります。
その場合、実際には対人関係や社会への適応の難しさから働けない状態であっても、2級には認定されづらくなってしまいます。
お役立ち情報
(目次)
- 障害年金の相談窓口
- 障害年金の申請は自分でできるか
- 障害年金を受給するためのポイント
- 障害年金申請の必要書類
- 不支給通知が届いた場合
- 障害年金の事後重症請求
- 障害年金申請で診断書の記載が重要な理由
- 障害年金における初診日
- 障害年金における社会的治癒
- 障害年金の計算方法
- 働きながら障害年金を受給できる場合
- A型事業所・B型事業所に通っている場合は障害年金を受給できるのか
- 障害年金の受給要件
- 障害年金の時効
- 障害年金が受給できる年齢
- 障害年金の種類
- 障害年金と生活保護の違い
- 障害年金は一生もらえるのか
- 障害年金がもらえない場合
- 精神疾患について障害年金が認められる基準
- うつ病で障害年金3級を受給できる条件
- てんかんで障害年金を申請する場合のポイント
- ダウン症で障害年金を受給するためのポイント
- 注意欠如・多動症(ADHD)の障害年金の申請はなぜ難しいのか
- 自閉スペクトラム症(ASD)で障害年金が受け取れる場合
- 網膜色素変性症で障害年金を請求する場合のポイント
- 腫瘍で障害年金が受け取れる場合
- 肺線維症で障害年金が受け取れる場合
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