障害年金と生活保護の違い
1 障害年金と生活保護の比較
障害年金と生活保護は、一定額の受給が継続的に続いていくものであるという点で類似の制度といえるかと思います。
では、障害年金と生活保護はどのような違いがあるのか、障害年金と生活保護との調整等と合わせて概要をご説明いたします。
2 受給の条件
障害年金は、原則として保険料の納付を前提として、一定の障害状態にあると認められた場合に受給が認められるものです。
何らかの傷病等があり、それが一定の障害状態でなければそもそも障害年金受給の対象となりません。
これに対し、生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するため、世帯収入が一定額以下の場合にそれを補うものとされます。
基本的に世帯収入を基準に判断されますので、一人暮らしかつ無収入であれば(就労可能性等の考慮もありますが)、受給の要件は満たしていることになります。
3 受給額
障害年金は申請する障害年金の種類、認定される等級によって変わってきます。
また、扶養家族がいる場合等に、受給額が加算されることになっています。
生活保護費は、最低限度の生活を営むのに必要な額を支給されることになります。
地代、物価等に地域差があるため、受給額も地域ごとに変わります。
また、一定の傷病等がある場合には、障害者加算という制度があります。
4 受給されるものの性質
障害年金については支給される年金に特別な性質はありません。
貯金等、何をしても問題ないものとなります。
これに対し、生活保護については、生活扶助、医療扶助、住宅扶助等、支給される保護費には名目があり、この関係で車を持つことや、借金の返済をすること等が問題となる場合が出てきます。
納付している保険料を前提としている障害年金と異なり、生活保護費はそういった背景のない税金から賄われるものですので、生活保護を受給しながら貯蓄を進めるようなことは認められていないわけです。
5 調整
障害年金と生活保護を同時に受給する場合も考えられますが、両者を満額受給できるわけではなく、金額の調整が行われます。
基本的には、生活保護が最低限度の生活を保障するものとなっていることから、障害年金の額が生活保護費を下回る場合には、不足分について生活保護費が受給できることになっています。
逆に障害年金の額が生活保護費を上回っている場合には、最低限度の生活を維持するだけの収入があることになるわけですので、生活保護費の受給要件を満たさないことになり、障害年金のみの受給となります。