障害年金の申請は自分でできるか

文責:弁護士 松井大幸

最終更新日:2025年08月05日

1 障害年金を自分で申請するのはなぜ難しいのか

 障害年金申請のサポートを業務として行っていると人に話すと、「なぜ障害年金の申請にサポートが必要なのか」と不思議そうな顔をされることがあります。

 公的年金制度から支給される年金には、障害年金の他に老齢年金と遺族年金があり、老齢年金は原則として65歳になったときに一定の要件を満たせば受給でき、遺族年金は配偶者や親が亡くなった場合に一定の要件を満たせば受給できます。

 老齢年金と遺族年金の受給に必要とされる一定の要件は、年金の加入記録等から客観的に確認できる場合が多く、専門家のサポートに頼らなくても年金事務所で手続きできることがほとんどです。

 おそらく、そのような事情から、年金の申請は専門家のサポートなしでもできると一般的に認識されているのではないでしょうか。

 しかしながら、障害年金の申請には、老齢年金や遺族年金とは一線を画するほどの難しさがあり、そのために専門家のサポートが必要とされています。

 障害年金申請のサポート業務を数多く行ってきた経験から、以下のとおり、障害年金申請の難しさと、専門家がサポートをする意義をお伝えします。

2 手続きの煩雑さ

 障害年金の申請を行うには、初診日を証明することが必要です。

 初診日から長い時間が経過している場合や、転院を繰り返している場合は、初診日を証明するために時間と手間がかかることがあります。

 また、病歴・就労状況等申立書という自己申告書を作成する必要があり、初診から(先天性の障害の場合は誕生時から)現在まで、いつ、どの医療機関をどのような症状で受診し、どんな治療を受けたか、その際の日常生活や就労状況はどのようであったかを記載しなければならず、これにも時間と手間がかかります。

3 適切な診断書を書いてもらうことの難しさ

 障害年金の診断書には8種類の様式がありますが、そのうち7種類がA3サイズの表裏両面となっており、記載が必要な事項が非常に多いです。

 そのため、診断書の作成は医師にとって大変手間のかかるものであり、記載漏れも頻繁にみられます。

 場合によっては、等級の認定に直結する大事な事項の記載が漏れていることもあります。

 また、医師は普段治療のために診察をしており、障害年金の診断書を作成するために診察をしているわけではありません。

 そのため、診断書を作成するために十分な情報を医師が把握していないことが多く、診断書に記載された症状の重さと実際の症状の重さが一致しないことが起きがちです。

4 結果を予測することの難しさ

 初診の医療機関にカルテが残っていない場合、様々な手段で初診日を証明することになりますが、どのような資料を提出すれば初診日を証明したことになるのか、一般の方が判断するのは困難です。

 また、作成された診断書を提出すると、認定基準に照らして何級に認定されそうなのか、あるいは不支給になりそうなのかといったことも判断するのが困難です。

 そのため、作成された診断書の記載内容が実際の症状を適切に反映したものなのかよく吟味せずに、そのまま提出してしまうことになります。

 これらの判断が困難なのは、一般の方に限らず、年金事務所の窓口の相談員にもいえます。

5 専門家が関与する意義

 上記2~4で述べた難しさに対して、障害年金の申請を専門家がサポートする意義は大きく分けると、①手間がかからず手続きが早く進む、②適切な診断書で申請ができる、③障害年金が支給されるか、何級に認定されるかの見通しが分かることであるといえます。

 実際に、障害年金を自分で申請して不支給になり、不服申立て(審査請求、再審査請求)をしたいというご相談を多くいただきますが、そのほとんどが適切な診断書等の書類を提出していない場合や、申請の方法が適切でない場合です。

 残念ながら、そうした場合には不支給という判断はやむを得ませんし、不服申立てしてもうまくいく見込みはほぼありません。

 また、再度申請をしたとしても、場合によっては既に提出した診断書等の書類の内容を理由に、また不支給となってしまうこともあります。

 したがって、これから障害年金の申請をしようと考えておられる方は、最終的にはご自身で申請されるとしても、一度専門家に相談されることをおすすめします。

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