ダウン症で障害年金を受給するためのポイント

文責:所長 弁護士・社会保険労務士 白方太郎

最終更新日:2025年06月05日

1 ダウン症で障害年金を受給するための要件

 ダウン症を理由に障害年金を受給することは可能です。

 もっとも、ダウン症で障害年金を受給するにあたっては、初診日、保険料の納付、障害認定基準への該当性等の点でポイントがありますので、以下、ご説明いたします。

2 初診日の特定について

 初診日とは、障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日のことをいいます。

 ダウン症は先天的なものであり、多くの場合は出生時や乳児期に診断され、この時点の医療機関への受診が初診日とされ、年金加入歴や保険料納付要件の判断基準になります。

 もっとも、下記4のとおり、知的障害で障害年金の申請をする場合、出生日が初診日と取扱われるため、初診日の証明は不要です。

3 保険料の納付要件

 原則として、初診日が20歳以降である場合には、初診日の前日時点で保険料の納付要件を満たしていることが必要ですが、20歳前に生じた障害については、例外的に、年金保険料の納付をしていなくても障害基礎年金を受給できます。

 この点、上記のとおり、ダウン症は先天的な疾患であり、20歳前の障害に該当するため、保険料納付の有無にかかわらず障害基礎年金の受給が可能です。

4 ダウン症の障害認定基準

 ダウン症の多くは知的障害を伴うことが多いため、その場合、精神の障害用の診断書を使って障害年金の申請をすることになります。

 知的障害についての認定基準は、以下のとおりです。

 

⑴ 1級

 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの

 

⑵ 2級

 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

 

⑶ 3級

 知的障害があり、労働が著しい制限を受けるもの

 

⑷ ダウン症で障害年金を申請する際の診断書について

 なお、ダウン症は、心臓疾患、聴覚障害、視覚障害、運動機能障害を伴う場合もありますので、そのような場合は、それぞれの障害に合わせた診断書も作成してもらい、提出する必要があります。

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